シイタケ(椎茸)エキス、高血圧、動脈硬化

シイタケ(椎茸)エキス高血圧、動脈硬化を予防し、免疫力を高める

シイタケは日本はじめ中国、台湾、朝鮮半島などに分布し、わが国ではすでに江戸時代から人工栽培が行われ、以来旺盛な需要に支えられて全国的に栽培地が広がったが、これは風味に優れているばかりでなく薬効に富むことが認識されてきたからにほかならない。

ビタミンDの前駆物質であるエルゴステリンの含有量が多く、これがカルシウムの吸収を高めるほか、ビタミンB1は心臓肥大を防ぎ、炭水化物の代謝を促進し、B2は脂肪の過酸化を抑制して動脈硬化を防ぎ、B6は皮膚炎、貧血、糖尿病に有効である。

さらに、ビタミンB群とカリウム、食物繊維などの相乗効果、および
エリタデニンという核酸誘導体の働きによって血行が改善され、血中コレステロール値が下がることも明かになっている。

わが国のみならず漢方医学の本場中国でもシイタケの薬効は古くから尊重されたが、その認識は現代中国医学にも受け継がれ、「中国やくよう葯用真菌」(劉波著)にはその効用として「気力を高め、五風(風邪・中風・通風・ふうてん瘋癲・頭痛)を改善し、血液を固まらないように保ち、体内の余分の水分を防ぎ、気力うを調える。

そして肝硬変を予防し、血中コレステロールを下げ、動脈硬化や血管の弱くなるのを防ぎ、常食すればガンを予防できる」と記されている。

この記載の正しいことは現代医学の立場からすで立証済みで、抽出されたレンチナンという多糖類には抗ガン性ばかりでなく、エイズへの有効性も見出されている。

ほかにも、多糖類がインターフェロン誘導を活発にすることによる制ガン作用にも期待が集まっている。

さらに近年、バイオ技術の発達により、シイタケの食用部分ではなく人工培養培地から抽出した菌糸体エキス(LEM)に、先人の経験を遥かに超えた多くの活性が発見された(菌糸体とはキノコの茎の下から伸びている白い糸状のもので、通常の食用部分は子実体という)。

その重要な活性の一つは、LEMの主成分である二種類の多糖類と水溶性の高分子化合物(リグニン)が、ビタミン、ミネラル、食物繊維などと相乗的に作用して骨髄の造血作用を促進することである。

(日本薬学会、エイズ国際会議、和漢医学会などにおける諸発表による)。

体の防衛機能をつかさどる“免疫”の主舞台の第一は胸腺であり、ここでは細菌やウィルスなどの外敵の侵入を食い止めるT細胞が活性化される。

そして第二の舞台である腸管や肝臓では、ウィルスやガン細胞を捕食するNK細胞が育成され、また抗体を作る役割はB細胞が担っているが、「シイタケの菌糸体に含まれる各種成分がインターフェロンやインターロイキンを誘導し、胸腺、腸管などの免疫器官、およびそこで育成される白血球、赤血球を正しく働かせる作用を持つ。

そのためにガン、エイズに至るまでの学術研究の対象になっているのである」(理学博士・菊地龍彦氏)という言葉は、シイタケエキスの将来をよく暗示しているというべきであろう。

つづく


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